 |
第11期代表世話人
|
高橋 憲司
(金沢大学 教授)
この度、桑畑先生の後任として、本研究会の代表世話人を拝命いたしました。
2005年、千葉大学の西川恵子教授を研究代表者とする科研費・特定領域研究「イオン液体の科学」(2005-2010年)が採択されたことが、日本のイオン液体研究が世界をリードする原動力となったと確信しています。以来20年が経過し、このコミュニティは、アカデミアから134名、産業界から26名の正会員、15社の賛助会員、そして209名の学生会員を擁する、極めて大きな組織へと発展いたしました。年1回の研究会と討論会、年2回のサーキュラー発行といった継続的な活動は、会員各位のイオン液体に対する期待と情熱の賜物であり、深く感謝申し上げます。
今後、若手研究者の皆様には、この特定領域研究に続く、学術変革領域研究(A)などの大型予算の獲得に挑戦していただきたいと強く願っています。これにより、基礎科学に基づいた新たな応用分野が創出され、産業界からの注目もさらに高まることでしょう。
私自身は現在、JST共創の場形成支援プログラム「COI-NEXT」の金沢大学拠点にて、プロジェクトリーダーを務めています。この10年間のプロジェクトでは、イオン液体を用いた新規熱可塑性セルロース素材の開発と社会実装を目指しており、マテリアルズインフォマティクス、機械学習、自動合成ロボットといった先端技術を導入することで、研究開発を加速させています。
本COI-NEXTプロジェクトにおいて社会実装の障壁の一つとなっているのが、「イオン液体のリサイクルプロセス」です。以前、Ken Seddon氏が来日した際に「この中に化学プロセス工学の専門家はいるか?」と聴衆に問いかけたことが強く印象に残っています。日本においては、化学プロセス工学の視点からイオン液体を研究する専門家が不足していると感じており、その背景には、「イオン液体は高価である」という認識が未だ根強く残っていることが挙げられます。しかし、実際には50kg、100kg、あるいはトン単位での購入により、価格は1/100程度まで低減します。さらに、リサイクルプロセスが確立されれば、コストはさらに低下します。こうした正しい情報を積極的に発信していく必要性を感じています。
最後に、2027年6月頃に金沢にて「COIL-11」の開催を予定しています。世界中から参加者をお迎えするためには、イオン液体研究会関係者の皆様の多大なご協力が不可欠です。何卒ご支援賜りますようお願い申し上げます。
第1期 | 濱口 宏夫 | 教授 |
第2期・第3期 | 渡邉 正義 | 教授 |
第4期・第5期 | 西川 恵子 | 教授 |
第6期 | 伊藤 敏幸 | 教授 |
第7期 | 大野 弘幸 | 教授 |
第8期 | 萩原 理加 | 教授 |
第9期 | 大内 幸雄 | 教授 |
第10期 | 桑畑 進 | 教授 |
歴代 |
|
|